「雨ニモマケズ」詩碑

テキスト

 11.3

 雨ニマケズ
 風ニマケズ
 雪ニモ夏ノ暑サニ
 モ マケヌ
   丈夫ナカラダヲ
         モチ
 慾ハナク
 決シテ瞋ラズ
 イツモシヅカニワラッテ
            ヰル
 一日ニ玄米四合ト
  味噌ト少シノ
      野菜ヲタベ
 アラユルコトヲ
 ジブンヲカンジョウニ
         入レズニ
      ヨク ワカリ
        ミキキシ
           ワカリ
ソシテ
  ワスレズ
 野原ノ松ノ林ノ蔭ノ
  小サ萓ブキノ
      小屋ニヰテ
 東ニ病気ノコドモ
       アレバ
 行ッテ看病シテ
        ヤリ
 西ニツカレタ
        母アレバ
    ハナ
 行ッテソノ
     稲ノ束ヲ
         負ヒ
 南ニ
   死ニサウナ人
          アレバ
 シヅカニ
 行ッテ
   コハガラナクテモ
      イヽ
行ッテ     トイヒ
 北ニケンクワヤ
       ソショウガ
 ツマラナイカラ  アレバ
     ヤメロトイヒ
 ヒドリノトキハ
     ナミダヲナガシ
 サムサノナツハ
    オロオロアルキ
 ミンナニ
    デノボート
         ヨバレ
 マタ
 ホメラレモセズ
 クニモサレズ
    サ ウイフ
         モノニ
    ワタシハ
      ナリタイ

  南無無邊行菩薩
  南無上行菩薩
 南無多寶如來

南無妙法蓮華経
 南無釋迦牟尼佛
  南無浄行菩薩
  南無安立行菩薩

 

出典

〔雨ニモマケズ〕」(『〔補遺詩篇 II〕』)

所在地

静岡県裾野市深良 総在寺境内 →地図表示

碑について


 この「雨ニモマケズ」の碑は、総在寺の落慶を祝して、創建にあたった浦辺諦善師が、とくに宮澤賢治の生き方への共感をこめて境内に建てられたのだそうです。推敲の跡なども含めて、賢治が手帳に記したそのままが彫られています。

 総在寺には、右の写真のような「無限不軽菩薩」も祀られていました。
 「常不軽菩薩」は、法華経に登場する一人の修行僧ですが、誰にでも近づいていって、「私はあなたを軽蔑しません。あなたは如来になるからです。」と、同じことばかり繰り返し言っていたといいます。他に何の教えも説かず、経文の読誦もしないので、彼は皆からおかしな奴だと思われ、罵られたり軽蔑されたり、さらには杖で打たれたり石を投げられたりすることもありました。それでもやはり彼は、同じことを続けていました。
 この皆から馬鹿にされていた常不軽菩薩が、実は釈尊の過去世の姿であったことが、法華経常不軽菩薩品の後半で明かされます。

 賢治が「雨ニモマケズ」で描いた、「デクノボー」という印象的な人間像は、そのルーツの一つとして、この「不軽菩薩」から由来しているのだと言われています。関連する草稿としては、文語詩未定稿の「不軽菩薩」や、「雨ニモマケズ手帳」のなかの「土偶坊」と題された戯曲のメモのようなものもあります。


 総在寺は、JR御殿場線の岩波という駅から、深良用水に沿って2kmほど東にさかのぼったところ、箱根外輪山の中腹にありました。あたりには民家もなく墓地があるだけですが、きれいに整備された花壇に、色とりどりの花が咲き乱れていました。


法華宗本門流総在寺

←「石碑の部屋」の目次へ