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2019年3月 3日 大槌町に「旅程幻想」詩碑建立

 来たる3月23日に、東日本大震災以来不通になっていたJR山田線の沿岸部(宮古―釜石間)が復旧開通しますが、それとともに同線沿岸部は三陸鉄道に移管され、これによって従来の久慈―宮古の「北リアス線」と、釜石―盛の「南リアス線」がついに「南北統一」され、三陸沿岸を久慈から盛まで一本でつなぐ、「三陸鉄道リアス線」が誕生することになります。
 実際に、久慈から盛までの直通列車が走り始めるのは、翌24日からのようで、すでに発表されている「リアス線列車時刻表」を見ると、直通列車は上りが3本、下りが2本で、全線でだいたい4時間30分かかるようです。

 下のGoogleマップで、青色部分が北リアス線紫色部分が山田線赤色部分が南リアス線ですが、あと2週間で、ここを北から南まで一本の列車で走ることができるわけですね。
 開通したらぜひとも、この直通列車に乗ってみたいものです。

 ということで、リアス線の「南北統一」も画期的なことではありますが、同時に旧JR山田線の沿岸路線部分がやっとのことで復旧し、再びこの路線を列車が走り始めるということは、震災から8年あまりも鉄道がない状況を強いられてきた、旧山田線の磯鶏駅から両石駅までの沿線部の方々にとっては、本当に待ち遠しかったこの3月23日でしょう。

 そして、その祝賀の意味も込めて、賢治の「旅程幻想」を刻んだ詩碑が、8年ぶりに列車を迎える大槌駅において、再開の1週間前にあたる3月16日に、完成除幕されることになったのです。上の地図で、青いマーカーを付けた場所が、その大槌駅です。
 詩碑建立を中心になって準備をされたのは、「大槌宮沢賢治研究会」の会長で、また「風の電話」の活動によって第25回イーハトーブ賞奨励賞を受賞された、佐々木格さんです。

「旅程幻想」詩碑除幕式チラシ表

「旅程幻想」詩碑除幕式チラシ裏

 ところで、「旅程幻想」の作品舞台がどこかということに関しては、まだ確定的なことはわかりませんが、賢治が発動機船を降りたと推定されている宮古と、叔父の家があった釜石との間のどこかだったということまでは、確かでしょう。佐々木格さんの説では、これは大槌町で作られたもので、作品中に出てくる「放牧用の木柵」があるような牧場が、昔は大槌町の北の方にあったということですし、賢治がこの作品でまどろんでいる「河原」とは、大槌町を流れる「小鎚川」ではないかということです。

 残念ながら、私は23日の詩碑除幕式に行くことはできませんが、そのご盛会と、今後の大槌町の発展を、心からお祈りしています。

  旅程幻想
               一九二五、一、八、

さびしい不漁と旱害のあとを
海に沿ふ
いくつもの峠を越えたり
萓の野原を通ったりして
ひとりここまで来たのだけれども
いまこの荒れた河原の砂の、
うす陽のなかにまどろめば、
肩またせなのうら寒く
何か不安なこの感じは
たしかしまひの硅板岩の峠の上で
放牧用の木柵の
楢の扉を開けたまゝ
みちを急いだためらしく
そこの光ってつめたいそらや
やどり木のある栗の木なども眼にうかぶ
その川上の幾重の雲と
つめたい日射しの格子のなかで
何か知らない巨きな鳥が
かすかにごろごろ鳴いてゐる

written by hamagaki : カテゴリー「賢治情報

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