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2015年3月26日 映画『幕が上がる』の劇中劇「銀河鉄道の夜」

映画『幕が上がる』

 私は、最近のアイドルグループの中ではももクロが一番好きなんですが、そのももいろクローバーZが主演する映画『幕が上がる』が現在公開されているので、今日映画館で見てきました。

 この映画は、女子高の演劇部のメンバーたちが全国大会を目ざして演劇に打ち込む中で、孤独や人との関わりに悩み、成長していくという物語で、ももクロのメンバーがそれぞれ生身の高校生を、切実に演じています。そして彼女たちが、大会に向けて取り組んでいく作品が、主人公役が思いの丈をぶつけて脚本化した「銀河鉄道の夜」であるということで、私としてはその意味でも、ぜひ見ておきたかったのです。

 アイドルを主演に据えて制作した映画なんていうと、内容は学芸会の延長のような感じがするかもしれませんが、この映画はそんなものではありません。映画監督の大林宣彦さんは、この映画を見て次のように語っておられます。

最初は、近くにいそうな普通の女の子に見えて、「この子たちと2時間付き合うのはつらいぞ」と思ったんです。でも、映画が進んでいくにつれてどんどんチャーミングになり、見終った時には、ハグしたいくらいになっていた。[中略]プロの女優になっていく過程を、ドキュメンタリーのように見ることができる。それが、この映画を感動させる大きな力になっていると思います。(『日経エンタテインメント』3月号)

 ということで、大御所も相当に評価しておられるのですが、そもそもこの映画は、今の日本を代表する劇作家・演出家の一人である平田オリザさんの小説をもとにしています。一方、「踊る大捜査線」などの大ヒット作を持つ映画監督の本広克行さんは、そのヒットから10年近くが過ぎた頃、映画監督を辞めようかと思い悩む時期もあったということですが、平田オリザ氏の「現代口語演劇理論」と出会い、その方法論に新たな可能性を見出し、平田さんの演劇にも関わり始めます。そして平田オリザ氏の小説『幕が上がる』を読んで感動し、これを自分の作った青春ドラマや映画で一番見たくなる作品にしなくては、という異常な使命感を持ち」(監督コメントより)、映画化にこぎつけたのだということです。
 本広監督が主演に抜擢したももクロのメンバーは、25時間にわたって平田オリザ氏の演劇ワークショップを受けて参加したということで、まるで「演技」か「地」かわからないほどの自然さを醸し出していましたし、弱小演劇部を大きく変えるきっかけとなる新任の美術教師を演じた黒木華さんも、素晴らしい存在感でした。あと、控えめながら国語の先生もいい味を出していて、授業の中で「銀河鉄道の夜」だけでなく、賢治の「告別」や、谷川俊太郎の「二十億光年の孤独」などを取り上げています。

 中でも、主人公たちが情熱をかけて取り組む「銀河鉄道の夜」が、重要な劇中劇として、なくてはならない意味を帯びつつ生かされていたことが、個人的には最大のポイントでした。宮澤賢治は、「銀河鉄道の夜」という作品にさまざまな多次元的な意味をこめていただろうと思いますが、この映画においては、宇宙の中にたった一人いるような「孤独」や、「人とのつながり」や「別れ」に悩む少女たちの思いが、ジョバンニとカムパネルラとの関係に投影されていきます。大会へ向けて稽古を重ねるうちに、彼女たちがどんどんジョバンニに感情移入していく様子には、切ないものがありました。

 ということで、ももクロファンならばもちろんのこと、賢治ファンの方も、もしもお暇があればご覧になってみてはいかがでしょうか。

 下の映像は、劇中劇部分の「銀河鉄道の夜」の抜粋で、県大会の「本番」や、稽古場面などがつなぎ合わされています。
 個人的には、最後のところの「クルミ」がちょっといい感じがします。賢治にとってもこれは、思い出深い木の実でしたものね。

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written by hamagaki : カテゴリー「賢治情報

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コメント



はじめまして。
去る3月、ももクロの大ファンの友人と共に
「ももクロと賢治さんの足跡をたどる旅」を決行しました!
ももクロメンバーが雑誌の特集で巡った賢治ゆかりの地をたずね歩いたのです。

私自身、小学生の頃から賢治作品が大好きで、
代表的な童話と詩は「全集」で(今思うとぜんぜん全集ではなかったのですが)一通り読んでいるつもりでしたが、
花巻に行ってみるとまだまだ私の知らない賢治の世界が広がっていることをあらためて思い知りました。
そこで、帰って来てから、青空文庫を読み漁ったり
ネットで他の方の解釈を調べたりしているうちに
こちらのブログに行き当たりました。

深い考察とものすごい文章量に驚きながら、少しずつ読ませていただいております。
ヒドリヒデリ問題については、こちらのブログを通してはじめて納得がいきました!

私もブログをやっておりまして、このたびやっと岩手旅行記の記事が完成しました。
貴ブログに大いに影響を受けたといっても過言ではないので、
僭越ながらこちらにご報告させていただきました!
浅い内容の記事ではありますが、
賢治初心者の女子二人が、どんどん賢治のスピリットにしびれていく様子を感じていただければ幸いです(笑)
もしよろしければご覧ください。
http://s.ameblo.jp/haalukkaa/entry-12039139032.html
(旅行記事の最後のページに飛びますが、記事の中にこれまでの旅行記へのリンクが貼ってあります)

投稿者 辻明佳 : 2015年6月29日 03:24

辻明佳さま、コメントをありがとうございます。(お返事が遅くなってすみませんでした。)
ももクロの足跡をたどる花巻の旅行記、楽しく拝見させていただきました。
雪にも降られながらの大変な強行軍だったようですが、ももクロと賢治によせるお二人の深い思いがあふれてくるようで、心打たれました。
ほんとうにいい旅でしたね。

ところで私も、まあ子どもの頃から賢治は好きだったのですが、ずっと単なる「好き」にとどまっていたのが、30代のある日に、生まれて初めて花巻を訪ねた時から、もう一度賢治にはまり直してしまった口です。
その年に花巻から家に帰って作り始めたのが、このサイトの前身でした。

それからは、花巻にも数え切れないほど行くことになるのですが、私も移動手段としては「花巻駅近くのコンビニ」のレンタサイクルをよく使っていましたので、イギリス海岸へ至る結構な道のりも、実感的によくわかります。(^_^;)

辻さんが、これからもまた賢治とももクロの世界の旅人として、素晴らしい旅を続けていかれることを、お祈りしています。

投稿者 hamagaki : 2015年7月 2日 13:13

hamagakiさま
拙いブログをご覧いただき、ありがとうございます(●´ω`●)ゞ
そうだったんですねえ、管理人さんをここまで深くはまらせる花巻の力、すごいですね。
たしかに街のすみずみにまで賢治が息づいているようでした。
私も同行の友人もすっかりハマりなおしてしまい、
「また行こう」と誓い合っています。
イギリス海岸までの道は、坂あり城趾ありで、
お天気がよければ気持ちいいのでしょうけどね(笑)

これからも、管理人さんの深い考察や旅行記、
楽しみにしております!(*^_^*)

投稿者 辻 明佳 : 2015年7月 7日 12:53

ありがとうございます!
こちらこそ、これからもよろしくお願いいたします(^^)/

投稿者 hamagaki : 2015年7月 7日 23:58


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