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2009年9月21日 花巻第二日

 まだ昨夜のお酒が残っている頭でしたが、7時前に起きて朝食をとると、ホテルまでまたMさんとFさんが迎えに来て下さいました。

 今日は、賢治の命日です。ということで、まず身照寺にあるお墓に献花をしてお参りをしました。私もこれまで何度か、賢治さんのお墓にはお参りをさせていただきましたが、献花までできたのは今回が初めてで、これもMさんのご配慮のおかげです。

賢治の供養塔と宮澤家代々のお墓

お参り

 お参りをすませると、里川口のローソンでお昼用の食糧を買って、イギリス海岸へ向かいました。皆さまもご存じのように、昨年から賢治忌に合わせて国や県が管轄する上流のダムが放流を制限し、賢治の時代のようにこの場所の泥岩層ができるだけ姿を現すようにしてくれているのです。Fさんによれば、この企画を実現するために長年努力をしてこられた花巻市の職員の方がいらっしゃるとのことで、有り難いかぎりです。

 で、今朝のイギリス海岸がどうだったかというと、下のような様子でした。(午前9時時点)

イギリス海岸

 これでも、昔の姿に較べたらまだまだなのでしょうが、「修羅のなぎさ」というイメージはちょっと実感できます。少なくとも、私がこれまで見られた限りでは、いちばん立派な姿でした。それにしても、いつもは静かなイギリス海岸に、たくさんの自家用車が並び、ずらりと見物の人が列をなしている眺めも、これはこれで壮観でした。

 瀬川の北側から南側までゆっくりと見学を終えると、ここで盛岡からバスで来られた「宮澤賢治センター」の一行と合流して、乗客の一人となりました。今回参加させていただくのは、「経埋ムベキ山」実地研究〔種山ヶ原〕という企画で、Mさんに教えていただいて締め切りぎりぎりになって申し込みをさせていただきました。
 バスは「さいかち淵」の碑の横などを通って、東北自動車道に入り、11時頃に種山ヶ原に着きました。今回のツアーは15名ほどで、バスの中では盛岡大学の望月先生のお話などを聴きながら種山ヶ原と賢治に関する知識を深め、現地に着いてからは住田町「森の案内人」の佐々木義郎さんという方から、道々の草花や木の一つ一つについて説明を受けながら歩くというものです。この高原の自然と賢治とのつながりを、まさに全身で体感するという企画でした。

 下は種山の頂上近くにある残丘(モナドノックス)。佐々木さんは、賢治がここで夜露をしのぎながら野宿をしたのではないかという推測から、ここを「賢治ホテル」とひそかに呼んでおられるのだそうです。

 「賢治ホテル」!

 種山の頂上で、佐々木さんは「どっどど どどうど」の歌を披露して下さいました。

種山頂上

 緑の道を下る。

緑の道を歩く

 数時間にわたって種山ヶ原を満喫した後、午後2時半にまたバスに乗り、花巻の賢治詩碑近くで降ろしていただきました。

 詩碑前広場では、もう「賢治祭・第一部」が盛り上がっています。

花巻小学校2年生による「雨ニモマケズ」群読

 上は、花巻小学校2年生による「雨ニモマケズ」群読ですが、千原英喜氏作曲の合唱曲「雨ニモマケズ」の一部もたくみに取り入れてあって、素晴らしいものでした。
 それから、やはり今年は大型連休のためでしょう、すでに広場はぎっしりの人で、私はこの場所からブログの更新をしてみようかなどと呑気なことを考えたりしていたのですが、この状況ではそんな傍迷惑ことはあきらめました。それで、今になって更新しているわけです。

  次は、花巻南高校演劇部による劇「猫の事務所」。猫耳を付けた女子高生もさることながら、現代の彼女たちの世代の言葉に翻案した「いじめ」の様子は、真に迫るものがありました。

花巻南高校演劇部「猫の事務所」

 第一部の最後は、はるばる和歌山県から来られた「橋本市音たまご合唱隊」による、シューベルト歌曲のメロディーに賢治の言葉をのせた合唱、「銀河鉄道の夜」ほか。

橋本市音たまご合唱隊「銀河鉄道の夜」他

 この後、参加者による恒例の「献花」が始まりましたが、今年はBGMとして「椿弦楽四重奏団」による賢治歌曲の生演奏が付いているというムーディな演出。

献花と弦楽四重奏

 で、「第二部」は午後5時から始まりましたが、最初はまず弦楽四重奏の伴奏で、参加者みんなで「ポラーノの広場のうた」を歌いました。

「ポラーノの広場のうた」全員合唱

 「雨ニモマケズ」朗読。部分的にエスペラント訳も混ぜるという趣向。

「雨ニモマケズ」朗読

 賢治祭実行委員会会長・宮澤啓祐さんによる挨拶など。「イギリス海岸」の企画は、さらに来年に期待するとのことでした。

宮澤啓祐氏

 その次に、これまでなら冒頭を飾る、「南城小学校4年生による合唱」がありました。いつも元気にあふれている子どもたち。

南城小学校4年生による合唱「星めぐりの歌」他

 次は、おなじみの「花巻農業高校鹿踊り部」。彼らの舞いも、いつ見ても勇壮で立派です。

花巻農業高校鹿踊り部

 この後、「賢治さんに捧げるスピーチ」をはさんで、「桜町ママさんコーラス」の合唱、さらに「花巻南高校合唱部」による「剣舞の歌」。

花巻南高校合唱部「剣舞の歌「

 まだ続きます。「私にとっての賢治さん」と題して、3人の方々のお話。ここでは広場全体が爆笑の渦に包まれるお話もありました。司会者の方も、「賢治祭でこんなに笑ったのは初めて」とのこと。

「私にとっての賢治さん」

 さらに、詩「過労呪禁」の朗読。

照井良平氏「過労呪禁」朗読

 そして、この難しい作品に関する、賢治学会代表理事・杉浦静さんによる解説。

杉浦静氏による解説

 で、「第二部」の最後は、恒例の「精神歌」の全員合唱です。

「精神歌」全員合唱

 この後、車座になって「第三部」の座談会。今年はこの段階でも、全国各地から来られた何十人もの方が残って、いろいろなお話をされました。司会者の方の表現によれば、「昔、羅須地人協会の集会室のあったあたりで、全国版の羅須地人協会の集会を開いた」という、まさにそういう感じでした。

第三部「座談会」 

written by hamagaki : カテゴリー「賢治紀行

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コメント



 
 
先日は、mail返信ありがとうございました 
イギリス海岸を見なければと思い 
四時少し前に訪れました。 
ほんとに あんなににぎやかなイギリス海岸を見たのは、初めてです。 
 
いそいで詩碑前に向いました。 
ちょうど弦楽4重奏の演奏の頃に着きました。
 
会場でお会いできたらご挨拶したいと思ってきょろきょろしたのですが(PCを開いている方を探して・・・)
残念ながら見つける事ができませんでした。 
確かに、携帯電話で写真を撮るのもちょっと気がひけたりしました。 
 
座談会にも参加しようか迷ったのですが 
泣く泣く帰ってきました。 
 
賢治祭には、3回参加しましたが 今までとちょっと変わった感じで楽しめました。 

 
もう、イギリス海岸の泥岩は 水の中なのでしょうね。 
バタバタと出掛けましたが、見る事ができてよかったです。  
 

 

投稿者 R.sugwawara : 2009年9月22日 23:44

 R.sugawara 様、コメントをありがとうございます。

 本文にもお書きしたとおり、賢治祭の混雑具合のために、その場でのPC操作は早々にあきらめてしまいました。目印にしていただいていたのに、申しわけありません。

 でも、熱気に包まれて、それから出演される方々の雰囲気もいつもとちょっと違って、楽しい賢治祭でしたね。

 またいつかお会いできる日を、楽しみにしています。

投稿者 hamagaki : 2009年9月23日 23:02

賢治祭の報告を楽しく拝読しました。参加していない者にとっては毎回ありがたいことで、まるでその場にいたような気持にさせられます。今回の報告の中で「広場全体が爆笑の渦に包まれるお話」があったとか。どんな話だったのか、とても興味をそそられました。お忙しいでしょう中、恐縮ですが、いつかその話を書いていただけたら…と切望します。

投稿者 茜 : 2009年9月26日 09:49

 茜 様、こんばんは。お返事が遅くなって申しわけありません。

 はい、その「広場全体が爆笑の渦に包まれるお話」というのは、「私のとっての賢治さん」のコーナーにおける中学3年生の男の子の話なのですが、彼は、とにかく花巻のバスの、とりわけ「岩手県交通」の、超熱烈なファンだったのです。
 それで、彼は花巻市内を走る路線バスの車内アナウンスを、「賢治さんも愛用していたのと同じような手帳に」すべてメモして勉強し、今では全部暗記しているのだそうです。
 当日はそのレパートリーの中から、「宮沢賢治記念館」など賢治に関係のある停留所名の出てくるアナウンスをいくつか順番に披露してくれたり、彼が宝物にしている「行先方向幕」(バスの前面上部に付いているアレです)を広げて見せてくれたり、ぼくの将来の夢は岩手県交通バスの運転手になって、録音テープではなく自分の声ですべてのアナウンスをすることです、と熱く語ってくれたりしました。

 このように書いただけでは、当日なぜあれだけの爆笑が湧き起こったのか、うまく伝わりにくい感じがしますが、車内アナウンスにしても、「次は○○〜、次は○○〜、××歯科医院へお越しの方は、ここでお降り下さい・・・。」などと、絶妙のイントネーションで次々と進むので、ふだんの賢治祭とはちょっと「ズレた」雰囲気になってしまって、何とも言えぬ可笑しみが、会場を包みました。
 私は、笑いすぎて涙が出てきて困りました。

 などと書いても、なかなか雰囲気が伝わりませんね。すみません。
 しかし、まあそういう感じだったのです。

投稿者 hamagaki : 2009年9月29日 00:39


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