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2008年8月17日 冒険王・横尾忠則

 兵庫県立美術館で開催されている、「冒険王・横尾忠則」という展覧会を見に行ってきました。会期は8月24日(日)までです。横尾忠則という類い希なアーティストの、ごく初期のイラストやデザインから、最新作まで網羅した、圧倒的な展示でした。
 ピカソにしても、岡本太郎にしても、天才的な芸術家というのは、もの凄いパワーをもっているんだなあ、ということをあらためて体感して、しばらくは言葉も出ないほどでした。

 ところで、私がこの展覧会に行った一つの間接的な理由には、横尾忠則氏の最近の大作の一つ、「花巻温泉」という作品の実物を見てみたかったということがありました。そして、1.8m×2.3mほどあるその絵は、展示の最後の部屋に、ドーンと架かっていました。
 中央に宮澤賢治の立ち姿があって、場所はどうやら「イーハトーブ館」の前のアプローチと水場のようです。その水場で、女性たちが温泉のように入浴していて、あといろんなコラージュとともに、賢治の手には心臓が・・・、という作品でした。
 「ファイブエル」という雑誌に連載中の「横尾忠則の温泉主義」という記事には、「花巻温泉」と題して、この作品の創作のために横尾氏が花巻温泉を訪れた際のエピソードが書かれています。

 展覧会場を出る際には、この「花巻温泉」のポストカードをたくさん買ってきましたので、もし見てみたいという方は、お送りいたしますよ。
 それからこのポストカードは、横尾忠則氏のオフィシャルサイトの、ONLINE SHOP の中のPOST CARD のページにも、小さいですが見本写真が載っています。「商品ID :PA-162」というのがそれです。

 ところで、作品をそのままコピーしてこの場に掲載すると著作権に触れるでしょうから、横尾氏もよくやるように、他の画家の作品を「引用」したり「パラフレーズ」するという手法で、下に名画「花巻温泉」のイメージを再現してみました。(本物は、アクリル画とコラージュの組み合わせですが、下では賢治の写真とイーハトーブ館の写真を加工しています。)

横尾忠則「花巻温泉」のイメージ
横尾忠則「花巻温泉」のパラフレーズ

 ところで、このような創作を見ていてちょっと思ったのは、いつかこの場でも話題にしたように、宮澤家の遺族の方々が賢治の肖像写真などを「商標登録」していて、それらの画像が「賢治の人格や作品などに関係なく」使われてしまわないように、管理をしておられるという話のことです。この横尾忠則氏の作品の場合は、例えば多く裸の女性の姿と一緒に賢治の肖像が用いられたりしていますが、「賢治の人格や作品に関係なく」使用されていることにはならないのでしょうか?
 以前に小さな村が建てた詩碑に、賢治のシルエットの絵が入っていた時にも、ご遺族は強硬に抗議をされたということでしたが、横尾氏の場合にはどうされるのか、個人的には注目しています。


 閑話休題、最近書籍の分野では、岡村民夫著『イーハトーブ温泉学』(みすず書房)が刊行されて、賢治の世界に関する「温泉学的」分析をたいへん興味深く読ませていただいたところでした。共時的に、横尾作品とどこかで通じ合っているようで、面白く感じました。

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written by hamagaki : カテゴリー「賢治関連本」「雑記

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コメント



こんばんわ。
わあ、面白いですね。横尾忠則って、健在だったのですね。
花巻温泉のエピソードってどんな話か、読んでみたいなあ。
ポストカード、ぜひ見てみたいです。
でも大きさがだいぶ違うと、印象もちがうでしょうね。
それにしても、hamagaki様。守備範囲が広いですね。

投稿者 nenemu8921 : 2008年8月19日 23:08

 nenemu 様、こんばんは。

 横尾氏の花巻温泉のエピソードは、下記で読むことができます。3ページにわたっています。
http://www.5-life.net/magazine/article-240.html

 展覧会で見た「花巻温泉」の実物は、賢治の姿がほとんど等身大かと感じるほどの迫力でした。

 ・・・それでも「残暑見舞い」、お送りしますね。

投稿者 hamagaki : 2008年8月20日 23:47

hanagaki様。残暑見舞い届きました。
横尾氏のエピソードもおかげさまで拝読できました。
hamagaki様がパラフレーズされたほうが洗練されていますね。(#^.^#)
そうでした。こんな感じ、横尾氏の原画はやはり横尾ワールドですね。等身大!?
有難うございました。

また、伺ったところによりますと、宮沢賢治賞奨励賞を受賞なさるそうで、誠におめでとうございます。


投稿者 nenemu8921 : 2008年8月22日 20:38

 nenemu 様、こんばんは。
 「横尾ワールド」実感いただけてよかったです。

 ところで、私も少し前に上記のことを伺って、この上なく光栄なこととは存じますが、本当にこんなサイトを対象にいただいてよいものだろうかと、恐縮しております。

 「奨励」というのは「もっと頑張れ」という趣旨だと思いますので、これからも投げ出したりせず、こつこつとやっていきたいと思います。

投稿者 hamagaki : 2008年8月23日 02:13


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