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2008年1月20日 “文学少女”と慟哭の巡礼者

 「ライトノベル」と呼ばれる文芸ジャンルがあって、「Wikipedia」上の一つの定義によれば、「表紙や挿絵にアニメ調のイラストを多用している若年層向けの小説」ということになるのだそうです。
 云わば、現代の大衆消費社会における、「少年少女期の終り頃から、アドレッセンス中葉に対する一つの文学としての形式」なのかもしれません。

 そのようなライトノベルの一つ、野村美月著『“文学少女”と慟哭の巡礼者(パルミエーレ)』という作品は、同著者による「“文学少女”シリーズ」の第5作目にあたりますが、この巻では宮沢賢治の作品がテーマとなっています。

“文学少女”と慟哭の巡礼者 (ファミ通文庫 の 2-6-5)  “文学少女”と慟哭の巡礼者 (ファミ通文庫)
 野村 美月 竹岡 美穂

 おすすめ平均
  stars今度は宮沢賢治でした。
  starsシリーズ五巻目は怒涛の展開
  stars“慟哭の巡礼者”が目指す「聖地」
  stars天野遠子はオレの先輩
  starsとても気分がよい
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 作中で名前が出てくる賢治の作品は、「銀河鉄道の夜」、「注文の多い料理店」、「風の又三郎」、「セロ弾きのゴーシュ」、「グスコーブドリの伝記」、『春と修羅』、「マリヴロンと少女」、「貝の火」、「ツェねずみ」、「双子の星」、「黄いろのトマト」、「敗れし少年の歌へる」、「暁穹への嫉妬」、「種山ヶ原」、「永訣の朝」、「松の針」、「無声慟哭」、「〔雨ニモマケズ〕」、等々。

 そして、作者による「あとがき」は、次のように始まります。

 こんにちは、野村美月です。
 “文学少女”シリーズ五話目は、予告通り美羽のお話でした。ネタ本は、シリーズ開始時から決めていた宮沢賢治『銀河鉄道の夜』です。再読のたびに新たな感動をくれる名作中の名作です! ジョバンニ視点も切ないですが、遠子が語っていたように、カムパネルラ視点で物語を追ってゆくと、たまらなく胸がしめつけられます。本当にいろんな楽しみ方ができる本なので、既読の方も、この機にぜひ読み返してみて下さい。
 賢治は、詩も良いですよね〜。作中引用した『敗れし少年の歌へる』は曲をつけてらっしゃる方がいて、ネットで拝聴したのですが、希望を感じさせる澄んだ歌声にボロ泣きしてしまいました。ラストシーンの執筆中も、ずっと頭の中で曲が流れていました。そういうわけで、最後美羽は、歌っています。(後略)

 「ネットで拝聴」ってひょっとして、これは当サイトで公開している歌曲版「敗れし少年の歌へる」のことですよね・・・。
 思わぬところで、作中のキャラクターが私の付けたメロディーを歌ってくれていたとは、嬉しい驚きでした。

 野村美月さま、もしもこれをご覧になっていらっしゃったら、「あとがき」で触れていただいて、ありがとうございました。

written by hamagaki : カテゴリー「賢治関連本

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コメント



HAMAGAKIさん、本当に、良かったですね。

投稿者 雲 : 2008年1月22日 02:18

 初めてここへ来させて頂きました。神凪(かんなぎ)と言う者です。『文学少女』の5巻あとがきを読んで、何処で公開されているのか「敗れし少年の歌へる 曲」で検索してこのサイトにたどり着きました。
 私は宮沢賢治の作品はどちらかというと敬遠気味で、周りもそうだった(学校の図書室においてあった宮沢賢治は「注文の多い料理店」のみでした)ので、「注文の多い料理店」と「銀河鉄道の夜」「セロ引きのゴーシュ」「雨ニモマケズ」・・・・・・以外読んだ経験が無く、「敗れし少年の歌へる」も『文学少女』の中で知りました。単に『文学少女』が好きだから、という理由で「敗れし少年の歌へる」の曲を聴いてみたのですが、これは凄いとすぐダウンロードさせて頂きました。
 宮沢賢治の詩とピアノ伴奏とVOCALOIDの声がたまらなくマッチしていて、思わず聞き入ってしまいました。
 時間を見つけて他の曲も、また他の本も読んでみたいと思っています。『これだけは読むべき』のようなお勧めの本などありましたら教えていただけると嬉しいです。
 変な言い方ですが、宮沢賢治に対する偏見を消してくださった事に感謝します。

投稿者 神凪 : 2008年1月23日 00:39

 神凪さま、はじめまして。はるばるとここまで、Web の世界の検索でたどり着いていただけて、幸いです。

 “文学少女”の第五話が「宮沢賢治」をテーマにしていると小耳にはさんで、ふとその「あとがき」を開いた時、私もびっくりしました。こういうことを通じて、これまで別の世界に興味をいだいていた人が出会えることは、ほんとうに不思議でありがたいことだと感じます。
 もしも神凪さまに、宮沢賢治に関する「偏見」があったとすれば、それを消してくださったのは、何よりもまず野村美月さんだったわけですね。


 それから、「宮沢賢治」で「これだけは読むべき」というお勧めの本ですね・・・。

 さまざまな好みがあるので選ぶのはとても難しいのですが、手軽なところでは、天沢退二郎さん編集の新潮文庫版のシリーズを、本屋さんなどで手にとってみられたらどうでしょうか。「詩集」が一冊と、あと童話集が四冊だかあります(『銀河鉄道の夜』『ポラーノの広場』『風の又三郎』『注文の多い料理店』)。
 あと一冊の『宮沢賢治万華鏡』というのは、これまで一般にはさほど知られていなかったような、賢治による絵画、短歌、童謡、書簡、劇脚本、小説、花壇設計図からメモなどが集められていて、彼の多面性を知るには面白い本になっています。

 今回のことを機会に、宮沢賢治に関心を持っていただければ、私もうれしいです。

投稿者 hamagaki : 2008年1月23日 02:20

こんばんは。

私もこの日曜に始めてhamagakiさんの「敗れし少年の歌へる」の曲を拝聴させていただきました。
感想を書き込みたいと思ったものの、作曲されてから随分時が過ぎていましたし、「機会がないな…。」と思っていたところにこの作品について話題がのぼり、そのタイミングの良さにうれしくなってしまいました。
譜面も拝見しました。これだけ奥の深いブログを立ち上げられている上に、作曲までなさるとは…、hamagakiさんの一日は24時間以上あるのではないか?…などと思ってしまいました。…感想になっていませんね。(^^;)
曲の美しさに感動したのはもちろんですが、素人なので、どこがどのように…といった表現はできないのですが、私の中で今までは「星めぐりの歌」が一番のお気に入りだったのが、今は「敗れし少年の歌へる」が一番になりました。
…幼稚な感想ですみません。(^^;)(^^;)
演奏する楽器や、機材、女声を混声や男声にかえたりしたら、印象が変わるのでしょうね…。

またご自身が作曲された経過も「巡り合わせ」なら、野村美月さんに取り上げられたことも「巡り合わせ」…。
そんな人と人の繋がりを感じると、なんだかほんわかと温かな気持ちになれますね。

インターネットが普及していなければ出会わなかったであろう人同士の繋がりに、何と言うか味気なさのようなものを感じる反面(古い人間でしょうか…)、瞬時に世界中の人と関わりを持てる、使いようによってはドラえもんのポケットのように夢のあるツールですよね。

今回、hamagakiさんにもたらされた「出会い」は夢があって素敵だな…と感じました。

投稿者 megumi : 2008年1月23日 03:14

アナログなので、インターネットだけのつながりには、少々、危ないものも、感じますが、根底に愛があるかないか、のような気もします。

HAMAGAKIさん、良かったですね。

聴いてないのに、無責任ですかね。

なんでか、聴けないのです。

投稿者 雲 : 2008年1月23日 18:03

>megumi 様

 過分なお言葉をありがとうございます。
 私が北三陸の普代村へ行ったことをきっかけに、この曲が生まれることになった機縁には、ほんとうにいろいろな偶然の力が働いていたのを感じます。
 そもそもリアル世界でも、人間の出会いというのは偶然によるところがほとんどですが、インターネットを介することによって、その偶然にかなり強い方向づけが生まれてくるとも言えるでしょうか。

 この歌が実際に歌われたのは、2005年10月と昨年の11月に岩手県普代村のコンサートにおける2回だと思いますが、今年もまた、地元の合唱団の創立20周年を記念して歌っていただけるということで、私もまた生で聴きにいけたらなあ・・・、と思っています。


>雲 様

 あたたかいお言葉、本当にありがとうございます。

 「なんでか、聴けない」とのことですが、どうしたのでしょうね。ブロードバンド環境でないと、うまく再生されないのかもしれません。
 一つの方法として、下記の URL を「クリック」して、出てきたメニューの中から「対象をファイルに保存」を選択し、少し時間はかかるかもしれませんが MP3 ファイルをパソコンにダウンロードします。そして、あらためてその MP3 ファイル(boy_1.mp3)を再生すれば、お聴きいただくことができるのではないかと思います。
http://www.ihatov.cc/song/mp3/boy_1.mp3

投稿者 hamagaki : 2008年1月24日 23:55

初めて、迷惑メールが来ました。
びっくりしたので、HAMAGAKIさんのコメントを見て、ほっと、しました。
まだ、1年しか、利用してないので、セキュリティ対策しようが、関係ないのでしょうか?
いやがらだと、情けない方がいらっしゃるのですね。

投稿者 雲 : 2008年1月26日 10:17


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